Vision Engineering Workshop 2020
ビジョン技術の実利用ワークショップ

2020/12/3(木)-4(金)
オンライン+
パシフィコ横浜2F アネックスホール

ビジョン技術 with 激流

基調講演



OS1 基礎基盤

組合せ最適化処理を加速するCMOSアニーリングの概要とその応用

株式会社日立製作所 研究開発グループ 情報エレクトロニクス研究部
山岡 雅直 氏

●経歴
1998年 京都大学大学院電子通信工学専攻(修士)
2007年 京都大学大学院 博士(情報学)
1998年 日立製作所 中央研究所 入社
1998-2010年 低電力半導体回路の研究開発(特にSRAM)
2010-2012年 IBMとの共同PJ @ Watson Research Center
2012年- 新概念コンピュータの研究開発

●概要
組合せ最適化問題を効率よく解く手法として,イジングモデルを用いたアニーリングマシンという手法が提案されている.CMOSアニーリングマシンは,半導体を用いて実装されており,高速かつ低電力での最適化処理が可能である.プロトタイプにより,画像処理などを含め,IoTシステムに適用されうる最適化処理を高速に実行できることを確認した.本講演では,CMOSアニーリングマシンの概要と適用例について紹介する.


OS2 産業応用

画像をベースとした産業応用のこれまでとこれから

トヨタ自動車株式会社 コネクティッド先行開発部
山中 正雄 氏

●経歴
東京工業大学 総合理工学研究科 知能システム科学専攻 博士後期課程修了 工学博士 現在まで,大手電機/精密機器メーカーにて,デジタルカメラ,カムコーダなどに実装される大規模集積回路の開発や,個人認証,人体検出,姿勢推定,異常行動検知,主被写体推定,審美性判定など,統計的機械学習に基づく画像処理技術の研究開発に従事.現在では,トヨタ自動車株式会社 コネクティッド先行開発部にて,車両内に設置したセンサー情報から車両内乗員の状態(姿勢,行動,覚醒度)を推定する技術,車載カメラで取得した画像を入力とし路上障害物を検知する技術,工場内の作業者の作業負荷を画像から推定する技術,エンターテイメント・ロボットとの会話における主格を推定する技術など,統計的機械学習に基づく研究開発に従事.

●概要
機械学習をベースとした様々な画像処理アプリケーションを“AI”と呼称するようになってから久しい.しかしながら,世の中からの期待とは裏腹に,AIを使った産業応用が十分に浸透し,企業の新たな収益の柱が構築されたとは言い難い.なぜうまくいかないのか? そこには,画像をベースとしたAI開発で陥りやすい“甘い罠”がある.本講演では,講演者の過去の苦い失敗事例などを交えながら,画像をベースとした産業応用のこれまでとこれからについて言及する.



OS3 メディア映像

嗜好に着目した音声・歌声研究のエンタテインメント応用

明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科
森勢 将雅 氏

●経歴
2008年和歌山大学大学院システム工学研究科博士後期課程修了.博士(工学).2008年関西学院大学大学院理工学研究科博士研究員,2009年立命館大学情報理工学部助教,2012年山梨大学大学院総合研究部特任助教,2017年同大学准教授を経て,2019年4月より明治大学総合数理学部准教授.音声・歌声を対象とした,分析,加工,合成,デザインの研究に従事.色々な賞を頂く機会に恵まれてきた.

●概要
歌詞と譜面から自然な歌声を合成する歌声合成技術はすでに実用段階のフェーズにあり,多くのソフトウェアが発売されている.歌声合成ソフトウェアの興味深い特徴として,声質と声のイメージに合うキャラクターの設計が,製品の評価に強く影響することが挙げられる.本講演では,「使ってもらえる」歌声合成技術のための一連の取り組みを紹介し,将来展望としてビジョン技術との統合によるエンタテインメント応用について講演する.


OS4 農林水畜産

バイオロギング:「ペンギン目線」の動物行動学

国立極地研究所 生物圏研究グループ
高橋 晃周 氏

●経歴
2001年,総合研究大学院大学数物科学研究科・極域科学専攻修了,博士(理学)
日本学術振興会海外特別研究員(英国南極調査所),日本学術振興会特別研究員PD(北海道大学水産科学研究院)を経て,2005年より国立極地研究所生物圏研究グループ助教授(2007年より同准教授).これまで10回にわたって南極観測に参加しペンギンの調査を行ってきた.

●概要
国立極地研究所では,広い海を自由に動き回る海洋動物の行動や生態を調べるために,動物に小型の行動記録計を取り付ける「バイオロギング」手法を長年にわたって開発してきた.近年では特に小型ビデオ記録計を使って「動物目線」の映像を取得し,水中での行動・生態の解明に役立てている.バイオロギングによる映像データを活用した研究事例について,南極でのペンギンの研究を中心に紹介する.


OS5 社会インフラ

インフラ構造物の微小変位計測技術の開発

日本電気株式会社 電波・誘導事業部 新事業推進室
石井 孝和 氏

●経歴
1989年  早稲田大学理工学部資源工学科卒業
1989年  日本電気株式会社入社
’89~’00  環境観測用LIDAR及び衛星搭載レーザ機器開発
    名古屋大学 太陽地球科学研究所 ラマンLIDAR
    インドネシアLIPI ジャカルタ大気環境DIAL
    月周回衛星かぐやレーザ高度計 SELENE-LALT
’00~’02  道路状況把握システム(AHS)赤外センサ開発
    第8回ITS世界会議シドニー2001
    “Highway Experiment for Developing Road Sensor”
’03~’13  陸上自衛隊向け装備品開発(営業)
’13~現在 SAR画像解析アルゴリズムの研究および
    衛星SARによるインフラモニタリング事業責任者
     第33回独創性を拓く先端技術大賞 「産経新聞社賞」受賞
    「衛星合成開口レーダ画像を用いたインフラ構造物の微小変位解析自動化技術の開発」

●概要
衛星搭載合成開口レーダ(SAR:Synthetic Aperture Radar)画像の時系列干渉解析により,広域に存在する地表面のインフラ構造物の微小変位(経年変位)を高精度・高効率に計測・可視化する技術を紹介し,この技術を用いた予防保全を目的としたインフラモニタリングサービスについても簡単に触れる.