概要(Abstract)
AIは,言葉や画像を扱う知能から,実世界で見て・触れ・動く「身体性知能」へと広がりつつある.本講演では,視覚に基づくロボットマニピュレーション研究の変遷を振り返りながら,VLAやロボット基盤モデルなどの汎用ロボットポリシーが可能にする行動生成の進展を概観する.さらに,身体性知能をスケール化するうえでのデータ,身体差,学習効率の課題を整理し,今後の研究展望を示す.
堂前 幸康(産業技術総合研究所)
Yukiyasu DOMAE
AIは,言葉や画像を扱う知能から,実世界で見て・触れ・動く「身体性知能」へと広がりつつある.本講演では,視覚に基づくロボットマニピュレーション研究の変遷を振り返りながら,VLAやロボット基盤モデルなどの汎用ロボットポリシーが可能にする行動生成の進展を概観する.さらに,身体性知能をスケール化するうえでのデータ,身体差,学習効率の課題を整理し,今後の研究展望を示す.
学歴・学位
2008年 北海道大学大学院 情報科学研究科 博士後期課程 単位取得退学
2012年 同上 博士(情報科学)取得
職歴
2008年 三菱電機株式会社先端技術総合研究所 研究員
2012年 同上 主席研究員
2018年 産業技術総合研究所 マニピュレーション研究グループ グループ長
現在 同上 人工知能研究センター 実体知能研究チーム チーム長
2021年―現在 (兼務)大阪大学大学院 基礎工学研究科 招へい教授
一貫してロボットマニピュレーション(ロボットビジョン,ロボット学習)の研究に従事。
福井 健策(骨董通り法律事務所)
Kensaku FUKUI
AIの急速な進化と社会実装は、生産性の向上や各種課題の解決への期待と共に、悪用、暴走、依存と自律性の喪失、虚偽情報などへの懸念も高めている。例えばコンテンツの文脈では、作品制作に大幅に取り入れられると共に、専門家の成果を学習したAIが専門家を市場で代替して行くことへの忌避感・反感は世界的に根強い。本稿では、各現場でも悩みの深い学習・生成と著作権を切り口に、国内外の論争や裁判、そして各国の規制やビジネス連携の方向を概観する。個人と社会が、変わり続けるAIとどう向き合うか、ひとつの可能性を提示できればと思う。
1991年 東京大学法学部卒業
1993年 弁護士登録、東京永和法律事務所入所
1998年 米コロンビア大学大学院法学修士課程修了
2009年 日本大学芸術学部客員教授
2017年 神戸大学大学院客員教授
2022年 内閣府知的財産戦略本部 委員
2024年 文化庁文化審議会著作権分科会政策小委員会 委員
2025年 デジタルアーカイブ学会副会長
2026年 第76回芸術選奨文部科学大臣賞 受賞
弁護士(日本・ニューヨーク州)/現在、骨董通り法律事務所代表。「18歳の著作権入門」(ちくま新書)、「ロボット・AIと法」(共著・有斐閣)、「エンタテインメント法実務」(編著・弘文堂)ほか。多くのコンテンツ企業・クリエイターの顧問、ELN理事、EPAD代表理事、日本舞台芸術ネットワーク常任理事、日本文学振興会評議員などを務める。
Web: https://www.kottolaw.com
X(旧Twitter): @fukuikensaku
德永 旭将(九州工業大学)
Terumasa TOKUNAGA
生産を自動化する自律型AIは、工程がライン化されていることを前提とするため、多品種少量や非定型な現場では適用範囲が限られる。そうした現場では熟練作業員の判断が依然として中核であり、人手不足と技能継承が課題となっている。本講演では、人の判断を代替するのではなく支援・拡張する「人間中心型」の外観検査AIを提案する。とくに、性格の異なるAIモデル間の相互作用(シナジー学習)によるラベリングコストの低減や、MR空間への作業統合といった新規要素技術を中心に紹介する。あわせて、検査者の「意図」推定によるノウハウ活用を今後の方向性として示し、人とAIが共に進化する外観検査の将来像を展望する。
学生時代には東南アジア、南米、アフリカ等でのフィールドワークを経験。明治大学でのポスドクを経験の後、高度情報科学技術研究機構で企業の大型計算機資源の利活用を促進するプロジェクトに従事。その後、情報システム機構・統計数理研究所にて神経科学分野の大型プロジェクトに参画。現在、九州工業大学においては「現場に貢献できる」データサイエンス・AIの基盤技術の研究に取り組む。
1983年 生まれ
2006年03月 九州大学 理学部 地球惑星科学科 卒業
2008年03月 九州大学大学院 理学府地球惑星科学専攻 修士号取得
2011年03月 九州大学大学院 理学府地球惑星科学専攻 博士号取得(理学博士)
2011年04月 明治大学 先端数理科学インスティテュート研究推進員
2012年04月 一般財団法人高度情報科学技術研究機構計算科学技術部 職員
2013年05月 大学共同利用機関法人 情報システム研究機構,統計数理研究所データ同化研究開発センター 特任助教
2015年04月 九州工業大学大学院情報工学研究院 システム創成情報工学研究系 准教授
2019年04月 九州工業大学大学院情報工学研究院 知能情報工学研究系 准教授
2026年04月 九州工業大学大学院情報工学研究院 知能情報工学研究系 教授 現在に至る
中嶋 一斗(九州大学)
Kazuto TOKUNAGA
移動ロボットが実世界で安全かつ自律的に行動するためには,周囲環境を計測し,そのシーンの意味的・幾何学的構造を正確に認識することが重要である.一方,信頼性の高い認識器を構築・評価するためのデータ収集とアノテーションには多大なコストを要し,センサ観測の欠損・劣化や希少事象を十分に網羅することも難しい.本講演では,これらの課題に対し,講演者らが開発してきた3Dシーン生成モデルとその応用例を紹介する.さらに,時間発展を扱う4Dシーン生成モデルや世界モデルの研究動向を概観し,移動ロボットへの応用に向けた課題と展望を述べる.
2020年 九州大学 大学院システム情報科学研究院 博士後期課程修了 博士(工学)
2021年 九州大学 大学院システム情報科学研究院 情報知能工学部門 学術研究員
2023年 九州大学 大学院システム情報科学研究院 情報知能工学部門 助教
2024年 九州大学 大学院システム情報科学研究院 学際情報学特別部門 准教授(大学院工学研究院 機械工学部門 兼務)
コンピュータビジョン・機械学習技術を用いた,移動ロボットのためのシーン理解やソフトロボットの状態推定の研究に従事.
玉木 徹(名古屋工業大学)
Toru TAMAKI
映像配信サービスにおける動画像解析や、監視カメラでのリアルタイム認識など、映像解析への期待が高まっています。工場では作業者の熟練度合いの評価、スポーツでは選手のスキル向上支援など、さまざまな場面で動作解析技術の応用も期待されています。本講演では、代表的な映像理解タスクである動作認識を中心に、我々が取り組んできた動作認識モデルと様々な関連タスクについて紹介し、今後主流となると期待されているVLMによる映像解析の最新動向を概観します。
2001年名古屋大学大学院博士課程修了.博士(工学).2001年新潟大学助手,2005年広島大学准教授を経て,2020年より名古屋工業大学教授.コンピュータビジョン,映像認識などの研究に従事.翻訳書に「コンピュータビジョン ―アルゴリズムと応用―」「統計的学習の基礎」「スパースモデリング」(共立出版)「Pythonで体験するベイズ推論」(森北出版)「スタンフォード ベクトル・行列からはじめる最適化数学」(講談社).
佐野 圭(東京慈恵会医科大学)
Kei SANO
眼疾患の一部は自覚症状に乏しく、専門医療機関を受診する前の段階では見過ごされやすい。本講演では緑内障と甲状腺眼症に着目し、健診や非専門施設でも取得可能なデータをもとにAIを用いて疾患スクリーニングやリスク層別化を行う研究を紹介する。緑内障については、簡易的スクリーニング視野検査から緑内障の検出のみならず現在の重症度と将来の進行リスクを予測する深層学習モデルDeepISP、また網膜OCT画像をもとに網膜個性を定量化するモデルRET-ARTを開発し、精度と費用対効果を両立しうるpopulation-basedスクリーニングの基盤構築を進めている。甲状腺眼症については、顔写真から3D顔形状を復元し疾患特異的な形態変化を捉えるモデルORVITを開発し、非眼科医・本人自身によるスクリーニング、ひいてはMRIに依らない重症度評価への応用を目指す。
2018年 東京慈恵会医科大学 医学部卒業
2020年 東京慈恵会医科大学 眼科学教室入局
2021年 東京慈恵会医科大学 大学院入学(博士課程)
2024年 文科省JSPS特別研究員DC2採択
2025年 文科省JSPS特別研究員PD採択(医学博士取得後)
2025年 JST研究支援プログラムACT-X採択
2026年 厚木市立病院 医長
篠田 貴之(日本テレビ放送網株式会社)
Takayuki SHINODA
日本テレビでは、制作現場が抱える課題を起点にAIの内製開発を進め、約10年にわたり、番組制作の効率化と表現力の拡張に取り組んできた。本講演では、「AiDi」をはじめとするAI開発の実例をもとに、AIが現場の業務や演出をどのように変えてきたのかを具体的に紹介する。さらに、オンデバイスAIによるリアルタイム処理や制作工程の自動化、技術の社外展開を踏まえ、コンテンツ制作におけるAI活用の現在地と、これからの可能性を展望する。
University of Massachusetts 卒業。2008年に日本テレビに入社後、番組制作技術に従事する傍ら、現場課題の解決に向けた技術開発を自ら起案・推進し、経済産業大臣賞3回を含む計40賞以上を受賞。AIやリアルタイム映像処理を軸に、新たな表現の創出と制作効率の向上を実現してきた。現在は技術開発に加え、海外展開とテック事業を主導。開発技術は米国大手放送局や国際的なスポーツイベントなどで相次いで採用され、NAB Show 2026(ラスベガス)では「Product of the Year」など主要賞をダブル受賞。世界市場での新たな価値創出に挑んでいる。